観光DX事例① 豊岡DMO・城崎温泉

城崎温泉駅

DX観光

観光DXとしての事例を紹介したいと思います。

これは、観光庁が運営するサイト「観光DX」でも取り上げられたり、その他でも以前より取り上げらる機会も多くあり、観光DXとして非常に有名な事例です。観光DXというテーマで注目を集める以前より、ITを活用した各種取り組みを先進的に進めてきた地域であり、先進事例と言える事例と言えます。

城崎温泉は兵庫県北部の豊岡市にあり、特に関西エリアでは昔から有名な温泉地です。7か所ある外湯に、宿に泊まって温泉めぐりを楽しむスタイルとなっています。
2008年に、世界的に有名なガイドブック『ロンリープラネット』で紹介され、2017年には、ミシュラン「グリーンガイド・ジャポン」の二つ星を獲得したことで、外国人観光客にも知られるようになりました。大規模な旅館が地域には少なく、中小規模の旅館が多いことから、個人旅行のシェアが高い欧米豪の個人客に狙いを定め、Expedia、Booking.comといった海外OTAと連携するなどをしてきました。

①城崎温泉で「ゆめぱ」を2011年にスタート
スマートフォンのICカード機能を利用し、宿泊客は「ゆめぱ」というデジタル外湯券を発行、地域の飲食店、土産店などでも利用可能とし、チェックアウトの際に決済を行う仕組みを構築しました。 独立行政法人産業技術総合研究所のサポートにより実施したものですが、観光地でこのような取り組みをするところは少なかったものと思われます。
現在は、商工会、観光協会、旅館協同組合、飲食店組合などが連携して運営をしており、 各旅館では年間数万円程度で利用が可能となっています。集めたデータを街の活性化に活用しており、以下のような内容となっています。

・7つの外湯の混雑状況をリアルに提供
・観光客の利用履歴を蓄積、分析
・回遊している観光客数、グループ構成、滞留・経路分析などを時間ごとに把握
・何時頃に観光客が多いか、親子連れが多いのか、男女ペアが多いのか、どこの外湯が人気なのかなどを定量化

まさに、デジタルデータを収集し、分析を行う仕組みをなっていることがわかります。結果として、それまで分からなかった客の動線が見えるようになり、近くの外湯に多くの客が入っていることが分かれば、通り道にある販売所に従業員を配置するなどして、売上増につなげられる、といった地域の声もあるようです。

②豊岡DMOによるDX推進

2016年には、(一社)豊岡観光イノベーションとして、城崎温泉を含む豊岡のDMOを発足し、旅行商品の販売や海外への営業、外国語での宿泊予約などを手がけます。運営する「Visit Kinosaki」経由での外国人による予約も増えています。
それまで、周辺の観光地に比べ、観光消費額や平均宿泊日数が低いという現状もあり、地域観光の課題となっていました。これらを解決していくために取り組んだものの一つが、DX事業でした。
「まち全体が一つの温泉旅館」のDX化実現事業は以下のような取り組みとなっています。
・城崎温泉の宿泊施設で、PMS(プロパティマネジメントシステム)の統一化を図る
・データを可視化するマーケティングシステム「豊岡観光DX基盤」を活用した滞在価値向上・周遊促進・リピート促進に向けた取組
・CRM (顧客関係管理システム)の開発により、地域一体で顧客の消費行動を把握し、得た情報を基に「顧客との関係を維持・向上させるための取組」を確立し、観光消費等の最大化に取り組み
・勉強会により、導入に向けた合意形成を図る
これらにより、地域一体で不当な安売りを防止する共通の認識を育み、繁閑に応じたレベニューマネジメントが機能出来る仕組みを作りました。豊岡市スマホ観光ナビというアプリにより、リアルなマーケティング情報の収集と利用者への情報提供を進めています。
地域の宿泊施設でPMSを共通化するという大胆と言える取り組みですが、そこまで実現してこそ、効果が最大限に発揮できるようになると考えられます。各施設、企業や関連する組織などが、地域のためにWin-Winの仕組みづくりを行っていくという意識を持ってこそ実現できる取り組みと言えます。

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